ハワイで成功している飲食店「黄金の豚」経営者に聞く〜前編〜
2022.04.05
ハワイで実際にビジネスを経営している「ビジネスオーナーに学ぶ」。記念すべきインタビュー第一弾は、ホノルルに人気のラーメン店を営むIKKA DINING INTERNATIONAL INC. 代表 福井俊太さんにお話を伺いました。
「黄金の豚(Golden Pork)」は、ホノルルの主要幹線道路であるSouth King Street沿い、ワイキキなどの観光エリアではない立地にあります。そのため、当初から観光客向けのビジネスではなく、近隣住民やローカルの人へ受け入れられるよう、尽力したという福井氏。本ラーメンレストランは、観光客が激減したコロナ禍でも順調に売上を伸ばしているそうです。そんな福井氏に、ハワイでのビジネス立ち上げについてお伺いしました。
目次[非表示]
- ー 福井さんは海外でのビジネス展開はいつ頃から構想をお持ちだったのでしょうか?また、その中でハワイを選んだ理由を教えてください。
- ー もともとハワイでラーメン屋さんをやろうという構想をお持ちだったんですか?
- ー ハワイでビジネスをすると決めた際、ハワイへ足を運ばれていましたか?
- ー 日本からハワイへビジネス進出をする、というと自社の持っているビジネスを展開するのが主流かと思いますが、福井さんはエリアの適性を見極めて決められたんですね。物件とビジネスを決定して、そこから開店までの流れを教えてください。
- ー 開店までの間、トラブルなどはありましたか?また、トラブルが発生した時はどのように乗り越えていかれたんですか?
- ー その他にも試行錯誤されたことはありますか?
- ー 日本人と現地の人で、味の好みが違ったんですね。
ー 福井さんは海外でのビジネス展開はいつ頃から構想をお持ちだったのでしょうか?また、その中でハワイを選んだ理由を教えてください。
ー 大学在学中から自分でビジネスをしてました。そのビジネスを売却した資金をもとに、アメリカでビジネスをしたいという構想はもともと持っていました。そこで大学卒業後にこの話に興味を示してくれた会社に入社しました。最初2年弱はその会社で働いて、その後本格的にアメリカ進出を目指しました。この時、会社社長の経営者同士のつながりで「こういうビジネスが売りに出てるんだけど買わない?」というお話をいくつかいただいて、その都度アメリカの現地に視察に行っていました。アトランタやLA、ダラスなども見に行きましたね。その中でハワイを選んだのは、ハワイに太いパイプをお持ちの方と知り合いになれたということと、土地柄、ハワイには日本語が出来る専門家が多くて、言語面での壁やハードルは低かったからです。もちろん、ステータス的な面もありましたが(笑)。
ー もともとハワイでラーメン屋さんをやろうという構想をお持ちだったんですか?
ー いえ、実は最初に物件を確保することから始めたんです。ハワイはかなり独特な場所で、本土であればいい物件などもマーケットに出てくるんですが、ハワイの場合はいい物件ほどオフマーケット、市場に出ずに水面下で売却が決まってしまうことが多くて。僕の場合は、まだマーケットに出ていない、いい物件をご紹介いただけたので、まずはその物件を購入することを決めました。そこからその物件の立地から何のビジネスをやるか検討しました。現在の「黄金の豚」を経営している場所は観光客が足を伸ばすエリアではなく、現地のローカル、中国系や韓国系の方が多いエリアだったので、そういった近隣住民に受け入れられる商品は何か、と考えた時に出てきたのがラーメンでした。
ー ハワイでビジネスをすると決めた際、ハワイへ足を運ばれていましたか?
ー 20回以上は来てますね。今はオンラインで何でも進めることが出来るけれど、やっぱり現地調査は必須だと思います。どんなものが流行っているのか、どんな客層があるのか、自分の目で見て確かめる、というのはとても重要。当時ハワイにもすでにラーメン屋さんはあって流行っていたんですけど、そこからラーメン屋さんをやるっていう案が出たんです。ラーメンがハワイの現地の人の間で流行っている、というのも現地に来なければ得られなかった情報だったと思います。
ー 日本からハワイへビジネス進出をする、というと自社の持っているビジネスを展開するのが主流かと思いますが、福井さんはエリアの適性を見極めて決められたんですね。物件とビジネスを決定して、そこから開店までの流れを教えてください。
ー 物件の購入を決めて、そこから何のビジネスをするか、それに合わせてコンセプトを決めてデザイナーに依頼して、内装工事をして。ラーメンも試行錯誤して美味しいものを提供できるよう、全て同時進行で進めました。物件購入から開店までは1年半ほどかかったでしょうか。日本にいる時から構想を練っていた時も含めたら丸2年ですね。やることも多く、でも妥協もできない、きつい時期でしたが楽しかったですね。
ー 開店までの間、トラブルなどはありましたか?また、トラブルが発生した時はどのように乗り越えていかれたんですか?
ー やっぱり国が変わるといろんなことが異なります。ハワイの人からすれば当たり前のことでも、僕ら日本人は全く知らないし、知らないからこそ気づけないことも多くて。内装工事や施工工事の際も、本当は設置義務があるものが抜けてしまっていて、工事終盤で判明して後から工事をする羽目になって余計な出費が出たりもしました。おかげで工期も伸びちゃいましたし。あと、ハワイで会社を設立したんですが、その時に諸々関わってくる弁護士さんもピンキリで、蓋を開けたらハワイ現地ではあまり評判が良くない人だったり、相場よりも高い金額を支払っていたり。今考えてみれば、初期投資にかかった金額の2/3位で実際は出来たんじゃないかなって思います。今はいい勉強代だったと思うようにしていますが(笑)。問題が起こった時に必要だったのはやっぱり現地の事情に精通していて相談役になってくれる人。僕の場合は、最初にハワイ進出の際に手助けしていただいた方に相談役になってもらっていました。
ー その他にも試行錯誤されたことはありますか?
ー 提供するラーメンの味付けですね。アメリカ人、もとい海外の人は日本人よりも味覚の種類が少ないと言われていて、我々日本人が好きな味付けをそのままハワイに持ってきても、ハワイ、アメリカ人ウケするとは限らないです。特にハワイは飲食でビジネスを成功させるのは本土よりも難しいと思います。僕の場合、ソフトオープンを行なって200杯くらい無料で提供しました。もちろんスタッフのオペレーションの練習も兼ねていましたが、何よりお客さんとして来てくれる現地の人の意見を聞くことが目的でした。当初の味からかなり変更を加えていて、ソフトオープン期間に現地の人向けの味付け変更の7割程度、開店後に3割を調整して現在の味に辿り着きました。
ー 日本人と現地の人で、味の好みが違ったんですね。
ー そうですね。ハワイにビジネス進出をする上で、日本のものをそのまま持ってきて売るだけでは成功しないと思います。進出先の現地(ハワイ)の感覚を取り入れることはかなり重要になると思います。日本人観光客が多い立地で、日本人観光客をターゲットにするのであれば日本の感覚的な面を重視してもいいと思いますが、そうではない立地の店舗であれば、現地の感覚を取り入れて彼らに受け入れられるものを作らないとだめですね。なので、飲食でハワイに進出する場合、ロケーション、立地によってかなり左右される部分はあると思います。僕の場合、観光客が足を伸ばすエリアではなく、ローカルの人にウケないと絶対にやっていけない立地だったので、ローカル目線を重視しました。
ビジネス立ち上げにおいては、常に予想外のトラブルが起こるもの。
現在安定した地位を築いている福井氏のビジネスも、例外ではなかったようです。
後編では、資金面や開店後についてお話をお伺いします。